DKインタビュー(TL掲載:8/18/16)

長いので、時間あるときに読んでね。

元記事@ちーむりきっど

なお、今回インタビューを行ったわくす君は日本語を多少理解できるので(たまに僕の日本語ツイートに反応するし、サザンのTSUNAMIが歌えるらしい)、お礼を言いたい方はぜひ一言かけてやってください。


 

David Kim氏とのインタビュー@DreamHack Montreal
「スタクラ2のエンドゲームとは?」

 

 
DreamHack Montrealにて, David Kim氏が今後StarCraft IIに多大なる変更をもたらすデザイン変更パッチの発表をしました。TeamLiquidのスタッフはKim氏と腰を据えて話す機会があり、StarCraft IIの長期的な目標や、韓国と欧米シーンの意見の違い、そして様々なバランスの要素についてお話を頂きました。

 
――これほどまで全面的なパッチを行った事はありませんが、LotVが最後の拡張だと言う事も影響しているのでしょうか?

David Kim氏(以下DK): LotVが最後の拡張であり、挑戦してみたかったので、大型パッチを行う事に決めました。最初の方では、マルチプレイヤー専用の拡張っぽい感じの規模になるのではないか、と思っていました。しかし、新しいユニットを追加しようとした時、あまり上手く行きませんでした。既に種族ごとの最大ユニット数に近づいているので(筆者注:スタクラ2コミュニティサミットにて、Kim氏はBlizzardが新しいユニットの追加を試してみたものの、既存ユニットとかなり役割がかぶってしまう事の話をしていました)このような大型パッチにしようと決定したのです。

 
――毎年BlizzConの後にこのような事が起こると期待して良いですか?今後の予定はどのようになっているのですか?

DK: もともとのデザイン予定はには最初に全部正しい立ち位置を作り、LotV発売後にバランスパッチを行う事でえした。しかし、見ての通り、追求すべき大きな事項がいくつかあったので、今回の挑戦的なパッチを行う事に決めました。
ただ、これから先の事となると、上手く言葉になりません。このパッチで全部上手く行った場合は、今後はバランスパッチのみ行う事となるでしょう。しかし、全部上手く行かなかった場合は、その通りで、またこういう事が出来ますし、来年の同じ時期に行うかもしれません。現状は今ある問題を解決する事に全力を注いでいるので、今後の事は正直判りません。

 
――自分にとってのゲームの理想的な状況とは何ですか?このゲームは「完成」する事はあると思いますか?

DK: はい、それ(完成)が僕達が目指している所です。僕にとっての理想は全ての対戦カードが良い感じに仕上がり、それぞれの対戦カードで試合に多様性があり、特にマップが変わった時に多様性が出る感じです。ゲーム的にはあまり大規模な変更が行われない状況であって欲しいのですが…シーズンごとにマップが入れ替わりますよね?それを行う事で、シーズンごとに戦略も変わり、ゲームは多様性が保たれ、遊ぶのも楽しい・観戦も楽しい、みたいな事になります。それが僕達が目指している所です。

 
――では、ゲームを芸術として見るデザイナーとして、「完成」し、改善を繰り返す必要のないゲームが理想的な終着点であると。

DK: ゲームにもよると思いますが、StarCraftに関しては、はい、僕達はそう信じています。でも、例えばHearthStoneやHeroes of the Stormの場合は、目標がとても違います。あちらの目標は常に新しいアップデートを紹介しゲームの新鮮さをそのようにして保つ事だからです。しかし、StarCraftは見ての通りそのようなゲームではないので、僕達のStarCraftに対する考えはこうなっているわけです。

 
――リアルタイムストラテジー(以下RTS)の大ファンであり、RTSが一番好きなジャンルであると聞いています。対戦ゲームシーンを全体的に見渡していると、未来のRTSは常にアップデートを繰り返さないといけなくなる事が免れないと感じますか?

DK: そうは思いません。特にStarCraft Iを見ると違うと思います。確かに僕達は努力する量が増えました。特にコミュニティの方々やプロゲーマーと共同作業したり。なので、あの位置にStarCraft IIでも行けると思っています。しかし、それが唯一の良いゲームの在り方ではありませんよね?それが対戦ゲームが唯一「良い」と思われる方法ではないのです。
しかし、StarCraft IIにおいては、あそこまでたどり着けると信じているし、近づいてはいると思っています。HotSやLotVの変更で確かに正しい方向に向かってはいるはずなので、多分到着まで80%、もしかして90%たどり着いていると思います。そして、そのように少しずつ段階を踏んで前進しているからこそ、終着点が近くにあると信じてはいるのですが、実際にその終着点がいつになるかは不明なままなのです。

 
――コミュニティの意見の一部を読みました。欧米の意見は概ねポジティブなものと日和見的なスタンスのものが多く見受けられますが、韓国の意見はとても違った物だと感じています。欧米が「もっとBWっぽくしてくれ」と言ってるのに対し、韓国人が「このゲームは難しすぎる」と言っている所にとても皮肉を感じています。
この事態についてどう思っていますか?韓国コミュニティは利用するアビリティが多すぎる・ハラスが強制されすぎているため、新規プレイヤーにとってゲームがとてもむずかしくなっている、と特に批判をしているようですが。

DK: 面白い事に、そう言う意見を言うのは韓国コミュニティだけでなく、プロ選手も言っている事です。KeSPAと会議する時もそうですね—例えば、先週あたりにもうちのプロデューサーが韓国に行きKeSPAの方々と会ってきたばかりです。僕も行きたかったのですが、このイベントがあったので行けなかったのです。あちらで頂いたKeSPAコーチの主な意見の1つは(プロにとって)ゲームが難しすぎると言う事でした。
僕達はこれがとてもおもしろく感じました。だって、それはWCS側のプロが言う事ではありませんよね?だって、彼らはゲームをもっと難しくし、誰も熟達出来ないようにしてくれと言うのですから。そちらに関しては結構良い所までは来ていると思うのですが……僕達の主な目的はStarCraft IIと言う世界で最も熟達するのが不可能であるゲームを作る事だと思っていて、その目標に向けて日々作業をしてきています。もちろん「俺はこれだけの時間をプロプレイヤーとして費やしたので、完全に熟達していてもおかしくないだろう」と思う方も出てくるでしょう。ただ、現実ではそうなっていないと言う事が面白みの要素の1つであると僕は思っています。同時に、これよりもっと難しくはしたくないとも思っています。
利用するアビリティに関しては、単純にそれがあるからと言ってゲームがより難しくなると言う事は正しくないと思っています。例えるならば、本当にそのアビリティにもよります。例を挙げると、DisruptorのショットはVoid Rayの攻撃に比べ、熟達する事がとても難しくなっています。後者は誰でも出来ます。ブロンズからシルバーレベルのプレイヤーの統計等を見た上で、一番好きなユニットは(特にチーム戦において)Void Rayだと思います。確かに扱いは難しくありません。単純に戦闘が始まった後、ボタン1つを押すだけで全部起動し、全てを殺す事が可能なのですから。なので、本当に何を見ているかによります。
このパッチでは、現状よりゲームが難しくならない事は確かに確認しなければいけません。しかし、僕達の目的はゲームをとても簡単にし、誰でも熟達できるようにする事や、数名のプロ選手が完全にゲームに熟達出来るようにする事では決してありません。僕達はゲームの現状を気に入ってたりもします。

 
――では、韓国側の懸念はどう対処するのでしょうか?東方と西方の異なる主張をどう和解させようとお考えなのでしょうか?

DK: 僕達の考えは—上手く行っているかどうかは判りませんが—プロ以外のレベルのプレイヤーにとっては、やる事・熟達する事がたくさんあるので、時間をかけてゲームの小さな一部に熟達する事が体験の面白味だと思っています。これは決して「プロ選手が出来る事は全て出来る」と思わせる事ではありません。そして、それはプレイヤー達が納得できる事だと確認する必要が多少はあります。そして、納得できていないなら、多少の変更をほどこすべく見つめなおし、プロのレベルにあまり傷をつけずに、それらのレベルにての難易度を下げたいと思っています。
その変更が何かと言うと、僕自身あまり良く判っていませんが、それに向かって作業する事は確かに可能なのです。もし参考になる意見があるならば(特に韓国側から)、共同作業が出来る方が良いとは思っています。毎週アップデート(訳注:週間DKの正式名称は「コミュニティ意見アップデート」です)を公表していますし、それを使いコミュニティと双方のコミュニケーションを図っています。なので、単純にゲームが難しすぎるから全部直さないといけない、と言うよりかは—プレイヤーが実際にどこに着眼した方が良いか、と指摘出来るならば、僕達も確実にそこに着眼できますし、それは特に今度の大型変更パッチに伴う一般テストが始まった後に言える事です。

 
――韓国プロゲーマーの意見は欧米のプロゲーマーの意見と質的にどのような違いがあるのですか?片方は特定のバランスの詳細を話してるのに対し、もう片方はコンセプトやデザインに関する問題の話をしたりするのですか?

DK: 両側から両方のタイプの意見を貰うと思います。主な違いをあげるとなると、韓国の選手は以前は「パッチは絶対当てない方が良い」と言っていましたが、それがLotVで変化した事です。HotSまではゲームは絶対パッチしない方が良い、プロは必ず解決策を見出すので全部ほっといて置くと良い、と言っていました。それに対し韓国以外のプロは完全に真逆でしたよね?LotVでは、双方がなんとなく同じような感じになりました。
ただ最近では、特に最近話している今後の変更については、韓国の意見は「バランスが韓国ではとても強固になっているので、このパッチを当てる必要はない」との事です。それによって、大型パッチの発表に対しては多少の懸念があります。僕達は確かにこのパッチを導入したいのですが、同時に頂く意見は確かにもうパッチを当てないでくれ、と言う方向に向かいつつあるからです。

 
――何が変わったと思いますか?ゲームプレイに関する何か、またはeスポーツの環境を取り巻く何かでしょうか?

DK: 何かと言う確信はもてません。もしかしたらLotVでゲームがあまりにも変わったため、韓国のプロは変化があまりにも大きいため(特に発売当初のAdept等のユニットに関して)ゲームが良い所に落ち着くためには研磨の意味でのパッチが必要だったのだと思っていたのかもしれません。しかし、現在はこれまでと比べると少し良い所に落ち着いて来たので、意見は以前思っていたような事の方に寄ってきているのかもしれません。

 
――韓国コミュニティはゲームにハラスメントが押し込まれすぎていると文句を言っています。その意見は角度によって正しいと感じていますか?さらに、TeamLiquidでも、ハラスメントが必要不可欠になってしまい、以前と比べ印象的でないと言う人もいます。例えば、WoL時代ではMedivacを利用し3箇所にドロップするプレイをしたならば、それがあまり簡単でなかった所を何とかやりとげたと言う事だからこそ印象的なプレイであった、と言われています。

DK: 最初の部分は、同じ意見だと思います。最後のバランスパッチにて、Queenの効率を上げたことにより、結果的にザーグに対するハラスメントの弱体に繋がりました。なので、その方向に多少行き過ぎたと思っているのは確かです。それが一歩下がってみた理由でもあります。
後半の部分については、同じ意見かどうかは判りません。必要である・ないにかかわらず、マイクロ操作を本当に熟達したプレイヤーは輝くのです。例を挙げると、Dark選手がZergling-Baneling戦略を取る事は一般的なプロ選手が同じ戦略を取る時とはかなり違います。または、昨日見たNeeb選手のScarlett選手に対するWarp Prismの利用法も、一般的なレベルのプロ選手は明らかにあの戦闘でWarp Prismが落ちる場所が2箇所ありました。しかし、Neeb選手はどちらの場合も失いませんでした。なので、プロ選手が特定の何かに熟達するかどうか、と言う話の方が、特定の戦略が理想なのかどうか、と言う話よりかは大事だと思っています。
訳注:Neeb-Scarlett戦を見逃した人用参照映像。自動的に該当部分に飛ばない場合は31分25秒あたりから1分ほど。

 
――プレイヤー達やプロ選手が時間をかけ、バランス問題を解決する技量についてはどうお考えですか?例えば、Brood Lord-Infestorは3年・5年・7年の時間を与えたとするならば、修正可能だったと思いますか?

DK: 多分可能だと思います。何事も時間が解決すると思っています。当時はこのように考えてはいませんでしたが、そう考えるべきでした—現状で僕達が考える事はまず状態を把握し、ゲームを遊ぶにしろ観戦するにしろどれほど現状が酷いのかを認知する必要があります。例えば、BL-Infestorの場合はかなり悪化していました。なので、プレイヤー達が解決策を見出すまで3年間待てるとしたとしても、その3年間の間の試合内容はとても良く無い物になるので、待つべきではないのです。
Warp Prismも強すぎるとの事がよく話でも出てきます。このような事もプレイヤーが時間をかけ、解決策を見出す事が出来ると思っています。しかし、色々な行動を生み出していて、どのようにハラスメントが展開されるかによりゲームの展開がかなり変わったものになるため、このような事はもう少し待っても支障はないと感じています。ただし、この特定の件については弱体の方向を望む意見があまりにも圧倒的多数なので、模索を開始したまでです。
しかし、現状のコミュニティはプロ選手と多少意見が分裂するようになり、プロの最新の意見はゲームの現状はとても良い状態にあるので何も強化・弱体しなくて良い、との事なのですが、コミュニティは明らかにそのような考えを持っていません。これはWarp Prismだけの問題でなく、Adeptのクールダウンに関する小さな弱体やShadeの視界、UltraliskのArmorを1軽減するなど—これら全ての事においてプロとコミュニティの間で意見がかなり分裂しています。なので、僕達はどうしたら良いか、とても迷っています。今後どうなるか見てみたいと思います。

 
――昨今のゲームはゲームプレイの問題が積極的に修正しますが、それにより何かを失ってしまった気がしますか?BWファンの重大な瞬間の一つとして、Bisuが7年の時を経た後にPvZを「解決」した瞬間があると感じています。それ以前のPvZが最悪だったとしても、ゲームそのものの美に関する何かを感じさせるような瞬間だと思っています。

DK: 完全には失われていないと思いますが、どうでしょう?今でもたまにそのような事項はあります。たとえば、Adept関連とか、Warp Prismが自己解決するなど—そして、それは既にプロによって解決済みかもしれません—現在ではより良い環境になるためにゲームにテコ入れをする事と、プロが解決策を見出す事でより良い環境になる事の混合を見ているのだと思います。
でも、あなたが思っている事は僕達の最終到着点でもあると思っています。ゲームの立ち位置としては、変更はあまり頻繁に行わず、バランスパッチを年に一度やるかやらないかくらいの所にどこかしらで到着したいのです。そこからプロ選手は自分で解決策を色々見出す時間が与えられるのです。それは確かに僕達が目指したい所だとは思っています。

 
――Overwatchのデザイナーのバランスへの「認識力」に関する面白い投稿を先日読みました。これは深読みしすぎているだけかもしれませんが、コミュニティが認識しているバランスと、統計により得られた事の両方を管理しないといけない感じがしたりしますか?

DK: ひとつひとつのゲームは違うので、Overwatchの事やあちらにとって何が正しいかについては言及できません。しかし、StarCraftにとっては、認識した事もバランスの一部であると思っています。例えば、認識が悪くともデータが良いとしたならば、そのバランスの一部は悪いとみなし、その理由はバランスを正しく調整するにはコミュニティの認識も大きな一部になっているためです。
これに関しては例が1つあります。新しいデザイナーが参入し「全てはデータが物語り、人々がどう感じるかなどではない」と言うとします。それを言われた僕の極論的な例は「じゃあ数値は半々でも、人々は皆バランスが最悪だと言った場合—それは立ち位置としては良い場所なのか?」勿論答えは「否」ですよね?なので、それに対する返事は、そう、その場合ゲームのバランスはとれていない、と言う事です。
なのでコミュニティの認識も大事ですし、データも大事ですし、大会結果や大会中の試合の質も大事です。これらの異なる要素が全て集まってバランスを築くので、それら全ての角度から見て、とてもバランスが取れている場所にありつくと言う事が、ある意味とても難しいのです。だから僕達は長い時間をかけてより良い物にしようと努力を惜しまず頑張っているのです。手短に答えるとしたならば、「コミュニティの認識はとても大事であり、同時にゲームバランスの一部でもある」でしょう。

 
――テストに関しては、有意義なテストを行えると信じていますか?以前お話した時、テストマップがあって、色々な人々に遊んでもらえるように努力はするけど、結果的にはプロリーグに投げ込んでどれが定着するか見るしか無い、と仰ってました。

DK: 「有意義」とは何か、によって答えは変わります。稼働中のゲームと同じようにテストができるから有意義、と言う意味でしょうか?それなら多分違うと思います。なぜなら、テストマップを遊んでくれる人数は稼働中のゲームを遊んでくれる人数より明らかに少ないからです。ただし、変更が実装される前により磨きをかける事に対して有意義なのか?って話になった場合、とても有意義だと思います。なぜなら、それを行わずに火曜日に実装したとしたら、バランスは一体どうなってしまうか想像してください。そう、テスト参加人数は理想的な数値ではありませんが、それでも無いよりはマシなのです。
なので、僕達はそれがとても有意義だと思いますし、これらの変更を実装する頃には何ヶ月も事前にテストを行ったために、ゲームの現状は絶対今より良い所にあると思います。しかし、変更が実装された後も、絶えずに磨きをかけていかなければなりません。

 
――最後に何か言いたい事はありますか?

DK: 僕達にとっての主な事項はテストマップでのマッチメイクへのキューが実装される時です。実際のゲームへのキューと比べて、こちらでのキューを使い遊んでくれる人数はそれほどでもないとは承知の通りです。稼働中のゲームでマッチメイクの質があれほどまで高いのは、各モードにて遊んでくれている人がとてもたくさん居るからなのです。
プレイヤーが稼働中のサーバーと同じようにバランスを測る事が出来るように、本当にそれに関してはバランステストマップにおいても同じにしないといけないのです。なので、みなさんには、出来るだけプレイして、テストの質を今までより格段に高くなるようにして欲しい、とお願いしたいです。

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